第1号 現代かな会報より(H8.12.1)
―創立に寄せて―


■「はじめに」 浅井機山

 この展覧会は、 まず楽しくいきたいと思います。 そのためには個性豊かな作品、 創造的な作品を発表するようにしなければなりません。 そして、 お互いの作風を尊重しあうことが全てであると思います。 好きな作品、 嫌いな作品ということは誰にもありますが、 嫌いな作品であっても、 作者の個性的な表現は理解できるはずです。 そのことを尊敬できる自分に成長することが第一です。 個性豊かな作品群は、 やがて地域に、 社会に、 人々に、 限りない豊かさを与えていくことになるでしょう。 そうした私たち一人一人だと自覚し、 作品は心を込めて書き、 お互いは楽しくいきたいと思います。
 さらに、 受賞者は心から受賞を喜び、 次への更なる制作の決意をしていただきたい。 受賞しなかった人は、 悔しい自分を乗り越えて、 奮起して次への制作としていただきたいと思います。 と同時に、 受賞者を心から拍手できる自分に成長することです。 このことを展覧会前に宣言しておきたいと存じます。
 その他のことは、 事務的に運んでいけば、 素晴らしい展覧会になっていくでしょう。


■石川小歩

 かな書道を追求してきて、 いま、 この文を書くにあたって、 思わずこれ迄のことを振り返り、 感慨深いものがあります。
 昨日も今日も雨がやさしく降っています。 これこそ、 喜雨と呼びたい心境で、 胸がいっぱいです。
 芸術は発表して、 多くの人に問い、 自身を反省することにより、 前進が得られるものと思います。 この度の 「現代かな書道展」 の誕生は、 同じ道を追求する人達の結束であることを思うと、 作品の発表にあたっては、 一段と身の引き締まる思いです。
 深遠な書芸の道を清く、 格調高く、 発展させるために、 一同心をひとつにして、 真剣な作品創り、 公正な運営を心がけていかなければならないと思います。 言うは易く行うは難しとも言いますが、 常に初心忘るなの思いで進みたいと強く思う次第です。


■志村虹染

 ここに至る迄、 会の創立にご尽力下さった方々に感謝し、 拓けた前途を願って第一号の発行を、 お祝申し上げます。
 いい作品を書きたい。 単純な気持でお仲間に入れていただいたものの、 展覧会出品作品はここ数年書いていませんので、 それらしい作品が書けるかどうか、 とにかく書くしかないと思っています。 私が最初かなに接したのは高校の書道部の時ですが、 本格的に始めたのは、 結婚後しばらくして、 林先生、 続いて黒野先生の御指導を受けるようになってからです。 今日の自分があるのもお二人の先生あってのことと感謝しています。
 現在は、 家での稽古場と大府市の教室で、 楽しい方々との出会いの中で精進しています。
 先ず第一回現代かな書展に向って努力していきたいと願っています。


■新林竹甫

 宮仕えとかな書道の勉強の二足のわらじをはき、 三十有余年が過ぎました。
 最近になって不本意な作品を発表することに嫌悪を感じながら、 それでも…と書作を続けて参りました。 退職を機に、 只今充電中の看板をかかげ、 視野を拡げる為と、 今まで出来なかった勉強を、 あれこれ手掛け、 結局かな作品制作は怠けてしまい、 早数年が過ぎようとしています。
 そんな時、 浅井先生から、 明るく楽しい個性的な展覧会を作りたいとのお話を受けました。 ややブランクが気になりながらも、 もう一度頑張ってユニークな現代かな書展の仲間として、 希望に満ちた会員の皆様方と一緒に成功させたいと思います。
 遠方にて、 足手まといのこと多々ありますが、 出来る限り努力して参りたいと存じます。 明るい希望に向って一歩を踏み出しましょう。


■花井白楊

 この度は 「現代かな書展」 の創立おめでとうございます。
 書展活動から永く遠ざかっており今更という思いもございましたが、 新しい書の勉強会発足のお誘いに賛同いたしました。
 発起人会の折には、 なつかしい方々にお会いし、 当時のことが思いだされました。 ご迷惑をおかけすることとは思いますがもう一度頑張って一年生からやり直していきたいと思います。
 いまは、 俳画や水墨画教室で明るく楽しい雰囲気の中絵を習っております。 「現代かな書展」 も良い環境で永く続けられるような会になるよう希望いたします。 又時々は研修会や勉強会などで皆様方と一緒に作品のレベルアップをはかる機会を作って下さるようお願いいたします。
 今後とも益々 「現代かな書展」 のご繁栄と会員の皆様方の協力、 ご指導のほどよろしくお願いします。



第3号 現代かな会報より(H9.12.25)

■林 茂樹 「すばらしいモットーと方針」 【朝日新聞社企画部長(当時)】

 浅井機山さんを始め、 関係者の大変な熱意で現代かな書展が発足してはや一年が過ぎました。 何よりすばらしいのは 「明るく楽しく」 というモットーであり、 「たがいの個性を尊重しあう」 という方針だと思います。 とくにユニークでも新鮮でもないモットーや方針ですし、 簡単で平凡そうに見えます。 しかし、 これが、 もっとも難しいことであるのは、 これまでの、 あるいは現在の様々な団体の様子を見ればよくわかります。
 どうかいつまでもこの原則を貫いて頂きたいと思います。 会員も着実に増え、 早くも全国規模になろうとしているのは正直言って驚いています。 同時に方針が広く受け入れられていることは嬉しい限りです。
  「かな」 は日本にしかない文字です。 その美しさに触れる機会が最近ではめっきり少なくなりました。 ぜひその機会を増やして頂きたいと念じております。




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